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有機農法への転換と自然保護

ソ連崩壊後、キューバを深刻な経済危機が襲った。そんな中、フィデルが最優先順位のトップに上げたのが、「一人も飢えさせないこと」を目的とする食糧問題の改善だった。 それに対する大きな取り組みは、都市農業改革である。 それまでキューバでは、ラテンアメリカで最も工業化された農園があり、世界でも最先端を誇る近代化学農業が行われていた。そこで不可欠な農薬・化学肥料や機械類を大量に輸入し、大規模な農業が展開されていたのである。しかし、輸入が不可能になったことで、一気に農園に作物の実りが止まった。そこで、彼らが選んだ策が有機化への農業転換である。 農業においては、石油の供給が止まったことで輸送が困難になり、また冷蔵・貯蔵コストを引き下げようと農園をハバナ都市部に集中させた。ハバナには、キューバ国民の20%に当たる約250万人が居住している。また、公共施設や民家で余った土地を活用して作物を育てるよう国民に促した。それまで、国民は肉食が主で、野菜を主食にする習慣はなかった。しかし、国民は、それぞれの家や空き地で農作物を行うことを率先し行った。 そのように政府は、より農的な文化を目指すことで食の問題に取り組んでいったのだ。  もちろん、それは簡単ではなかった。年間平均気温が25℃という熱帯地域での有機栽培、病害虫も多く不向きなコンディションの中、病害虫駆除の為のアグロエコロジーの研修を日夜行い、有機農業開拓に全力を投じた。また、トラクター用の燃料がなくなったために、時代を後退するよう牛耕での農作が始められ、更に化学肥料が途絶えたことで、生ゴミやミミズを活用して肥料にしたのだ。 都市の土壌は、80%以上がコンクリートに覆われていた。その為、たとえ土があっても有機質の含量が1%以下という耕作という不向きなコンディションであった。しかし、そんな悪条件下でも、彼らは独自で開発したオルガノポニコという技法(コンクリートで作られた枠内に盛り土して耕作地を造る大きなプランター)で農業を始めたのである。 また、牛肉の供給量が激減したために、政府は雛を民家に配給して飼育を促したり、豚を民家で飼育させるなど、地道な努力を進めていったのである。 それまでキューバでは、全農地の75%を農業省が管理していた。また22%を協同組合農場や生産農家組合、残り3%が個人農家の所有するものであった。しかし、1993年9月には、新協同組合農場が設立され、農家の人々は販売所で生産した作物を販売し、その売り上げの80%を国に収める仕組みを設けた。それによって、いくら働いても給料の差がなかった農民たちの経済状況が一気に改善され、組合員による努力が直接給料に反映されるようになったのだ。また、UBPC(新協同組合農場)、CPA(協同組合農場)、CCS(生産農家組合)などの協同組合が設けられ、農家は技術指導を専門研究員から受けるなど、政府からの協力を得られるようになった。 そのような取り組みによって、生産率の上昇へと繋がり、その結果、農業生産量は数年間で著しく回復し、1998年には経済危機以前の水準にまで回復したのである。現在、ジャガイモ以外の農作物はすべて有機農業で行われている。また、果物も柑橘類を除いてはすべて有機栽培であり、マンゴーなどの果物も化学肥料は使用されていない。稲作も地方の大規模農業を除いては、農薬は使用されておらず、都市農業はすべて有機栽培で行われているのである。 キューバでは、1960年から最低限の食料が低価格で国民全員に配給されている。国民は各自に配給手帳が配給され、地区ごとに決められた配給所へ物資を取りに行くのである。 配給所には黒板が設けられ、米、豆、砂糖、牛乳、石鹸、歯磨き、コーヒー、タバコなどの文字が配列し、納入日が分かるようになっている。 しかし、現在も配給は一家の暮らしを満たすまでには至っていない。不足する食料に関しては、政府が管理する販売所で購入しなければならない。経済危機以前に比べて、農作物に関しては、国民平均所得約300MNペソ(約1500円))に対して妥当なまで低価格で販売されている。しかし、精肉などに関して今も国民の所得に対して、異常に高値がついているのが現状である。キューバは島国であるが、魚を食べる習慣はあまりない。そこで、近年政府は肉食だった国民に対して食の改善を促し、魚や野菜を食卓に取り入れるよう力を入れて訴えている。 また近年キューバでは、日本の精進料理でもあるマクロビオティック食の研究が本格的に行われている。その効果は国内でも認められ、マクロビオティック食を取り入れた患者の成人病率などが著しく低下したり、喘息などの病人が激減するなど効果をもたらせているのである。またフィデル・カストロ自らも、長年マクロビオティック食を取り入れているのだ。

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